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役立つQ&A

貿易ビジネスQ&A

Q.Sea and Airといわれる輸送方法を詳しく教えてください。

A.Sea and Airは国際複合輸送の1つです。国際複合輸送というのは、International Multimodal Transportまたは
 International Combined Transportと呼ばれます。2種類以上の輸送手段を利用し、ひとつの輸送契約に基づく
 2国間の輸送のことです。

 【Sea and Air輸送のメリットとデメリット】
 メリット
 ・海上輸送だけの利用に比べて、所要日数が大幅に短縮できる。
 ・航空貨物輸送だけの利用に比べて、運賃が安く抑えることができる。
 ・目的地の空港に到着するため、海上輸送に比べて、到着後の貨物の引取りに要する時間が短くてすむ。
 デメリット
 ・積み替え作業が必要となるので、その分ダメージが発生しやすい。

 【具体的なSea and Airのルート】
 @北米西海岸経由
 日本から北米西海岸の港までコンテナ船で輸送します。次に最寄の空港よりヨーロッパの各都市に航空貨物
 輸送されます。おおよその輸送日数は14日から17日ぐらいです。

 A東南アジア経由
 日本から主に香港、シンガポールまでコンテナ船で輸送します。最寄の空港からヨーロッパへ航空貨物輸送され
 ます。輸送日数は、おおよそ12日から15日です。

 B北米経由中南米向け
 日本から北米経由で南米の国々へ送られる輸送ルートは、次の3つがあります。
 ・日本からアメリカの西海岸までコンテナ船で輸送され、そこから中南米の国々へ航空輸送されます。
 ・日本からアメリカの西海岸までコンテナ船で輸送され、西海岸で荷揚げされたのち、マイアミまで転送され、
  その後カリブ諸国や中南米諸国へ航空貨物輸送されます。
 ・日本からコンテナ船で直接マイアミまで海上輸送され、その後中南米へ航空輸送されます。

 特に日本から南米向けに関しては、Sea and Air輸送がよく利用されます。利用される背景には、日本-南米間
 の直行便の航空運賃が高額であることや、スペースも限られているとの理由があります。さらに、海上輸送に
 比べ大幅な輸送日数の削減ができるので、Sea and Air輸送を依頼する企業が多く見られます。
 そのほかにも、日本からロシアの港までコンテナ船で運び、その後ウラジオストック空港からモスクワ空港経由
 でヨーロッパの各都市へ運ばれる輸送ルートもあります。

 【国際複合輸送の利点】
 ・輸送手段を単一の複合輸送人(Multimodal Transport Operator)が全区間手配します。さらに、書類作成や
 通関手続きなどの付帯業務も行ってくれるので、荷主の負担が大幅に削減できます。
 ・輸送時間と運賃の選択幅が広がり、さまざまな輸送手段を組み合わせることにより、多様なニーズに対応
 できます。
 ・輸送中のトラブルや貨物の追跡情報などに対応してくれます。

Q.コンテナ船が入港すると搬入手続きを行うそうですが、急ぎのときは「個別搬入」という便利な手続きが
 あると聞きました。どのような手続きですか。

A.本船の入港に合わせて、コンテナ・ターミナルでは船会社から入手したマニフェストなどを参考にし、荷役計画を
 立てます。コンテナが本船から降ろされると、コンテナの損傷状態を必ず確認し保税地域に搬入します。
  搬入の方法には、一括搬入と個別搬入があります。
  一括搬入とは、コンテナの陸揚げがすべて終了してから、まとめて搬入届けを税関に提出する方法。すべての
 コンテナを一括して搬入登録することを一括搬入といいます。
  これに対して、個別搬入とは、該当するコンテナの陸揚げが終了した時点で、すぐにそのコンテナ分だけ税関に
 搬入届けの提出を行うものです。この個別搬入は、一括搬入よりも届出時間が早まるので、輸入申告が早くでき
 ます。したがって輸入者または海貨業者は、急ぎの場合、本船の入港前に船会社と通じて、CYのオペレーター
 に個別搬入を依頼しておくことで、早期の貨物引取りができます。
  この制度を利用したのが、中国船などで盛んに利用されている「Hot Delivery Service」といわれるサービスです。

 【個別搬入の流れ】
 ・事前に船会社に依頼することにより、該当するコンテナが本船から降ろされると、その都度、搬入手続きが行われ
 ます。これにより、通常の搬入手続きよりも早く手続きが行えます。

 【個別搬入の問題点】
 ・費用がかかる
  船会社にもよりますが、コンテナ1本当たり、5,000円前後の費用が発生します。
 ・事前手続きが必要
  船会社にもよりますが、事前にその旨を伝えなくてはなりません。一般的には、「輸入個別搬入依頼書」など
  に必要事項を記入してFAXします。

 【注意点】
 ・思ったほどのメリットを得ることができない場合もある
  該当するコンテナが早く降ろすのに不利な、本船の下のほうにある場合、コンテナの荷降ろしに相当の時間が
  かかります。このことにより、通常の搬入手続きと、そう変わらないケースも発生します。
 ・本船自体の入港スケジュールが遅れ、個別搬入手続きの意味がなくなる場合もあります。

Q.事故が起きたときに保険会社に対して保険金の請求を行うことになるのですが、どのようなことをしたら
 いいのでしょうか。

A.基本的に保険金の請求に関しては、荷主(輸出者または輸入者)が保険金を請求する意思が必要です。
 さらに荷主は、貨物の事故を証明するさまざまな書類を用意しなくてはなりません。

 【主に保険会社に提出する書類】
  ・保険請求書(Claim Note)
  保険金の請求を求める書類

  ・保険証券(Insurance Policy)
  保険を付保していることを証明する書類。さらに契約内容を確認、証明するための書類。

  ・船荷証券(Bill of Lading)
  船積みを証明する書類。

  ・仕入書(Invoice)
  該当する貨物の金額、数量などの明細が記載されている書類。

  ・カーゴ・ボート・ノート(Cargo Boat Note)
  在来船での場合に利用される書類で、貨物に異常があればリマークに記載されます。

  ・デバンニング・レポート(Devanning Report)
  コンテナ船での場合に利用される書類で、貨物に異常があればリマークに記載されます。

  ・事故通知(Claim Notice)
  事故発生の責任を負うべき運送人や第三者に対して通知した書類。

Q.弊社は今後、CIF条件で輸出することになりました。海上運賃がどれくらいかかるかは大きな問題です。
 基本運賃(Base Rate)以外にも追加料金(Surcharge)が必要といわれますが、具体的にどのようなものが
 あるのですか。

A.海上運賃とは、荷送り人と船会社との間の輸送サービスの対価のことです。通常、貿易条件により、輸出者または
 輸入者が運送人である船会社に海上運賃を支払います。
  海上運賃には、基本運賃(Base Rate)、割増料金(Surcharge)があります。

 @基本料金(Base Rate)
 海上運賃の基本となる運賃。在来船の場合は品目別運賃、コンテナ船の場合はボックスレートがあります。
 さらに、最低料金(MInimum Charge)も設定されています。

  ・ボックスレート(Box Rate)
  海上コンテナで貨物を輸送する場合、海上運賃は貨物の量に関係なくコンテナ1本あたりいくらと決めています。
  ボックスレートには品目無差別ボックスレート(Freight All Kinds Rate)があります。
  品目無差別ボックスレートは、貨物の量や種類に関係なく、コンテナ1本あたりいくらと設定されています。一方、
  品目別ボックスレートは、品目を運賃同盟のタリフに準拠してそれぞれ個別に設定した運賃です。

  ・品目別運賃(Commodity Rate)
  貨物の品目ごとに設定された運賃。海運同盟のタリフレートは、この品目別運賃体系を採用しています。
  計算方法は運賃率に該当する貨物のトン数を掛けます。同盟タリフの運賃率は品目別に何ドルと表示
  されています。

 A追加料金(Surcharge)
 Base Rateを補うために決められた追加料金のことです。割増料金は航路により異なります。また、航路ごとに
 細かく決められたものがあるので注意しましょう。

  ・CAF(Currency Adjustment Factor):通貨変動調整係数
  為替レートの急激な変動に対応して調整される割増運賃のこと。通常、CAFは運賃の総額に対して一定の
  パーセントを掛けたもの、あるいはコンテナ1本あたり何ドルと表示されます。

  ・BAF(Bunker Adjustment Factor):燃料費調整係数
  燃料の価格の急激な変動に対応して調整される割増運賃。燃料油の高騰に対処するものです。

  ・FAF(Fuel Adjustment Factor):燃料費調整係数
  アジアの4つの同盟の1つの協定が、上記のBAFに代えて、あらたに導入したもの。

  ・EBS(Emergency Bunker Surcharge):緊急燃料費割増料金
  原油の高騰にともない、今までのBAFとは別に、燃料費がかさむリスクを荷主に負担してもらうために設定した
  割増料金。

  ・Documentation Fee
  船積書類作成にかかる諸費用をカバーするための割増運賃。日本以外のアジア諸国は導入されます。日本
  では韓国近海輸送協議会(KNFC)のみ採用しています。

  ・DDC(Destination Delivery Charge)
  仕向地の港に到着したコンテナを、コンテナ・ヤードの指定されたところまで運ぶ費用。

  ・YAS(Yen Appreciation Surcharge)
  円高損失補填料金のこと。円高の対策としてアジアの同盟及び協定が導入した為替用の割増料金。

  ・THC(Terminal Handling Charge)
  コンテナ・ヤードでの空コンテナの階層などの経費をカバーする目的で導入された割増料金。

  ・Panama Canal Transit Fee
  パナマ運河を通行するために必要な通行料を補うための割増料金。

  ・Peak Season Charge
  北米向け貨物は特に、12月のクリスマスシーズンに向けて、6月から11月に増加する傾向があります。そこで
  この時期に増加するコストを補うために作られた割増料金。

  ・Customs Advanced Information Charge
  アメリカに到着する貨物は、その貨物の積み地において、船積み24時間前までに、貨物明細をアメリカの税関
  に提出しなければなりません。そのための費用です。

  ・General High Cube Additional
  9フィート6インチのハイ・キューブ・コンテナ(背高海上コンテナ)を使用した場合の割増料金。

  ・Inland Haulage Tariff
  トラック、鉄道、はしけ(Barge)を使用した内陸輸送費用。

  ・Port Congestion Surcharge(船混み割増料金)
  船混みが激しく碇泊期間が長きにわたる港に仕向けられる貨物について、臨時的に徴収される割増料金。

  ・Advance Manifest Security Charge
  アメリカやEUへの輸出品に対する24時間ルールに対応するための諸費用。

  ・B/L Fee
  B/Lの発行手数料。航路によって発生する場合があります。

  ・CFS Charge
  CFS(Container Freight Station)での、貨物の荷捌き等にかかる作業料。

  ・Heavy Lift Surcharge
  貨物1個の重量が一定基準を超えた場合に発生する費用。

  ・Long Lengthy Surcharge
  貨物1個の長さが一定基準を超えた場合に発生する費用。

  ・Inland Fuel Surcharge
  内陸燃料割増料金。米国内陸の鉄道、トラック等の燃料費高騰に対する措置として導入された割増料金。

  ・Chassis usage charge
  アメリカにおいて、コンテナのシャーシは船会社が提供するので、その費用。

 【Surchargeの注意点】
 ・Surchargeは向け地または航路ごとにより異なります。
 ・Surchargeは頻繁に変わるので、船会社に対して事前に確認しておくことが大切です。
 ・Base Rateに対してSurchargeの額が大きな負担額になる場合があるので、事前に確認しておくことが大切です。

Q.輸出貨物に梱包を施す必要がある場合がありますが、実際に梱包を行う場合の注意点を教えてください。

A.輸出される商品(製品)の保護のために梱包を施します。梱包の目的を確認しましょう。

 @商品(製品)などを荷役中の落下や接触による損傷から保護する
 A輸送中の衝撃や振動による損傷からも保護する
 Bフォークリフトやクレーンなどを利用した荷役作業を容易にする
 C輸送や保管を容易にする

 【梱包を施す場合の注意点】
 ・長距離輸送に対応した梱包が必要
  船舶や航空機を利用した長時間の輸送が行われます。輸送中や積替え時に衝撃などが加わることが多いので、
  それに対応できる梱包が求められます。

 ・乱暴な荷役に対応できる梱包が必要
  海外には取扱いが乱暴な業者もあるので、どのような荷役作業でも対応できる梱包が必要です。

 ・仕向地によってさまざまな規制があります
  輸出先では梱包材に対するさまざまな規制があります。加熱や薬剤による処理が求められる場合がありますので、
  注意が必要です。

 ・気象条件に対する貨物の保護が必要な場合があります
  輸送中、保管中に発生する結露、雨漏れなどに対応できる梱包が必要です。

 ・作業性も考慮する
  クレーンやフォークリフトに対応できる梱包が求められます。

 ・経済性を考慮することも必要
  梱包経費の削減、梱包貨物の軽量化も考えなくてはなりません。

 ・環境面でも考慮する必要があります
  現地に到着し開梱された後の梱包材の廃棄、処理が問題となります。環境保護との関連を考えなくてはなりません。

 【梱包形態の選択】
 どのような梱包の形にするかは大変重要な課題です。梱包形態にはさまざまな種類があります。輸出する商品(製品)
 の品質や材料、特徴などに応じて決定します。

 ■代表的な梱包形態
 ・カートン(CARTON)
  電気製品や雑貨など比較的軽量な商品を梱包する最も一般的な形態
 ・木箱(CASE)
  製品に防水や防湿などの保護が必要な場合、板材を並べて隙間を防ぎ梱包した形態
 ・パレット(PALLET)
  すのこのような台でパレットの貨物を載せてストレッチフィルムを巻いて梱包します
 ・クレート(CRATE)
  密閉せず、木枠のみで商品を梱包する形態
 ・バック(BAG)
  麻袋など、袋に商品を入れて、口を縫い合わせる形態
 ・ベール(BALE)
  綿花、羊毛などのときに用いられます。バックとの相違点は、布等でくるんだ後、合わせ目を縫い合わせます
 ・カン(CAN)
  インク、油類などを入れるブリキの缶で、英国ではTinといいます
 ・スキッド(SKID)
  フォークリフトなどによる荷役が便利なように、丸太、角材などで「ゲタ」をはかせたもので、機械などの重量物
  によく利用されます
 ・強化ダンボール梱包(トライウォール)
  諸外国の植物検疫の要求が強く求められるなか、木製梱包材の使用に代わる代表格として、盛んに利用
  されています
 ・真空梱包
  真空梱包とは、よくバリア処理と呼ばれる方法で、精密機械などをバリアで覆い、空気を抜いて真空状態に
  したのち、梱包する方法です。張り他で真空にした状態で、中にシリカゲル(乾燥剤)を入れて湿気を除去し、
  湿気による錆を防止します。これは船舶による海上輸送では、輸送中に海水の塩や湿気によりカビなどが
  発生する危険性があるからです。

 【木製の梱包材の輸出入に関しての注意点】
 ・植物検疫措置に関する国際基準第15
  国際貿易貨物に使用される木材梱包材は、植物に有害な動植物の侵入経路となることが、国際的に懸念
  されました。そこで国際植物防疫条約に基づく「植物検疫措置に関する国際基準第15」(国際貿易における
  木材梱包材の規制に関するガイドライン)が採択され、国際基準の措置を施さなくてはなりません。具体的な
  処理方法として、熱処理の場合は、木材の中心部の温度が56度に達してから最低30分の熱処理をすること。
  または、臭化メチルくん蒸処理の場合は、温度に応じて48〜64g/m3を24時間行うこと。また、処理済みの
  木材梱包材には、指定されたマークの表示が義務付けられました。

 ・Caution Markを付けることもあります
  梱包した外装に取扱の注意点を記したCaution Markを印刷します。これは貨物の取扱にともなう危険を回避する
  ためのものです。たとえば壊れやすい商品で、衝撃を与えないように注意を促すためにHANDLE WITH CARE
  などの文言を記載します。

 ■Caution Markの実例
  ・THIS SIDE UP : 貨物の上下(天地)方向を指示する
  ・KEEP DRY : 水漏れしないよう指示する
  ・USE NO HOOKS : 手がきで穴を開けないように指示する
  ・SLING HERE : つり位置を指示する
  ・HANDLE WITH CARE : 取扱注意を指示する

Q.輸入許可後、商品価値を高めるために流通加工を行うことがあると聞きましたが、具体的に流通加工とは
 どのようなものですか。また、注意する点は何ですか。

A.流通加工とは、商品が消費者のもとに届くまでの間で行われる、さまざまなサービスのことです。顧客の要望に
 応じて、商品に付加価値を付ける加工を行います。主に物流業者に依頼します。輸入品の取扱いに関しては、
 フォワーダーが輸入通関手続きから商品の配送までの間で、一貫して業務を請負っていることが多いです。
 フォワーダーは、トータルのサービスを施すことで、輸入者の要望に応えています。

 【流通加工の作業内容】
 ・検品
 ・包装
 ・梱包
 ・ラッピング
 ・ラベル貼り
 ・ステッカー貼り
 ・セット詰め
 ・組み立て
 ・詰め替え
 ・小分け
 ・タグ付け
 ・値札付け
 ・袋入れ
 ・化粧箱詰め

 【輸入から流通加工の具体例】
 ・お中元、お歳暮用の高級食材のセット詰め作業、梱包作業
 ・クリスマス商戦向けシャンパンの化粧箱入れ作業、ラッピング作業
 ・バレンタインデー向け高級チョコレートのセット詰め作業、ラッピング作業
 ・ファイルやバインダーなどの文房具の加工作業、梱包作業
 ・電気製品の部品の検査作業、袋詰め作業、梱包作業
 ・マスクの化粧箱入れ作業、梱包作業

 【注意点】
 ・日本国内での流通加工費用が高いとの理由により、物流コスト削減のため、海外生産地で流通加工を施す
  動きもあります。どちらを採用するかは企業により異なります。
 ・原則的に流通加工費用は輸入者負担となります。事前に費用負担額を確認しておきましょう。

Q.船会社から船荷証券を入手しました。チェックしたらオリジナルB/Lに船会社のサインが抜けていました。
 このB/Lは無効ですか。

A.サインが抜けている船荷証券は、たとえOriginalと明記されていても、オリジナルB/Lとしては通用しません。銀行は
 買取りに応じてくれません。輸出者は船会社に船荷証券を持ち込み、サインをしてもらう必要があります。
 3枚全部にサインが必要です。このケースはサインのない船荷証券を発行した船会社にミスがありますが、輸出者は
 船荷証券を入手するときには、必ず船荷証券にサインがあるか確認することが大切です。

Q.船荷証券に"Shipper's Load & Count"と記載されていますが、これはどういう意味なのですか。

A.これは荷主が輸送品(貨物)をコンテナに詰めて"pack"して"seal"したという意味です。船会社ではなく荷主が自ら
 詰めたコンテナの中に、貨物がどれくらい(例えば何カートン)入っているかは、船会社にはわかりません。つまり船会社
 は個数については責任が持てませんという意味です。
 荷主または海貨業者が貨物をコンテナに積み込むFCL(船荷証券上はCYと表記)と船会社がコンテナに貨物を積み
 込むLCL(船荷証券上はCFSと表記)があります。
 FCL(CYと表記されている)の場合、船荷証券にこの"Shipper's   Load & Count"の文言が記載されています。確認
 しましょう。

Q.船荷証券をなくしてしまいました。どうしたらいいでしょうか。

A.船荷証券はとても大切な書類です。取り扱いには十分に注意が必要です。紛失したと思ったら、まず、もう一度徹底的
 に探してみましょう。それでも見つからない場合は、船会社に「再発行」を依頼します。しかし再発行には、たいへん厄介
 で面倒な手続きが必要だということも覚えておいてください。

 【具体的な再発行の方法】
 @輸出者が新聞や業界紙などに「失効公告」を掲載します。
 Aさらに船会社に対して、再発行依頼書と銀行保証付L/Gを提出します。
 B船会社は船荷証券を再度作成します。船荷証券上には"REISSUED"と明記され、すでに発行されたB/Lが失効して
 いることをはっきりと表現します。

Q.船荷証券とSea Waybillの違いはどのようなものでしょうか。

A.船荷証券もSea Waybill(海上運送状)も、どちらも船会社やNVOCCなどの運送人と荷送り人(輸出者)との間で、
 運送契約が成立していることを表す書類です。貨物の受取証の役割もあります。しかし、その法的な性格や特色は大きく
 異なります。
 まず船荷証券は、その所持人が船荷証券に記載されている貨物の所有権を持っています。したがって船荷証券の売買
 は貨物の売買と同じ効力を持つことになります。
 これに対して、Sea Waybillは単なる受取証であり、譲渡性や流通性を持ちません。これは荷送り人から荷受け人に対し
 て、貨物の輸送の連絡を意味するものであり、貨物の引渡請求権を持ちません。

Q.航空貨物運送状と船荷証券の違いを教えてください。

A.航空貨物運送状(Air Waybill)は、記名式であるため譲渡可能ではありません。このため、荷受け人に間違いないことが証明
 できれば、航空貨物運送状の原本を呈示しなくても貨物を受け取ることができます。
 航空貨物運送状には船荷証券が有している、貨物の引渡請求ができる権利証券の役割はありません。航空貨物は通常
 短期間で目的地に着き、到着後すぐに荷受け人に渡せることから権利証券である必要性も低く、流通性もありません。
 船荷証券は船積みを保証した証券であるため、船積みが完了した時点で発行されるのが原則です。しかし、航空貨物
 運送状は貨物を受け取った時点で発行されます。

Q.保険証券が手元にありますが、これは有価証券ですか。

A.輸出者はCIF条件などの場合、保険会社に対して海上保険の申し込みを行い、保険会社から保険証券を入手します。
 この保険証券は船荷証券と異なり、有価証券ではありません。保険証券は保険契約の成立を証明したものであり、契約
 内容が明記された書類です。保険証券は原則として裏書きにより譲渡可能です。国際輸送の貨物を対象とする海上保険
 は、英国法および英国の慣習を準拠法としています。

Q.仕事でよく略語を使用しますが、S/IとS/OとS/Aが混乱してしまいました。その違いを教えてください。

A.貿易実務の仕事をするうえで書類の略語をよく使います。略語が表現している書類の違いを理解するには「書類の
 作成者は誰で、書類の提出先はどこで、書類の役割は何か」を合わせて確認することです。
 まず、「S/I」とはShipping Instructionsの略で、「船積依頼書」のことです。これは輸出者が作成し、海貨・通関業者に
 船積手続き・通関手続きを依頼・指示するときに作成する書類です。海貨・通関業者はこのS/Iにもとづき、船積手続き
 に必要な船積書類を作成し、船会社に提出します。信用状条件のときは、S/Iの記載内容には十分な注意が必要です。
 「S/O」とはShipping Orderの略で「船積指図書」です。これは在来船の船積みの場合に船会社が本船の船長あてに
 船積みを指図した書類です。
 実際の書類の流れは次のようになります。まず海貨業者が船会社指定のS/Oを作成します。次にこのS/Oを船会社に
 提出します。船会社では内容を確認のうえ、S/Oナンバーを取り、海貨業者に返却します。海貨業者はこのS/Oと輸出
 許可書、それに輸出貨物を本船まで運びます。
 「S/A」とはShipping Adviceの略で「船積通知」です。これは輸出者が船積みが終了すると輸入者に対して船積みが
 無事終了した旨を伝える連絡書です。本船名や入港予定日、商品名、個数など必要な情報をFAXなどで連絡します。
 最近はeメールによる船積通知も増えています。

Q.輸入商品に関税がかかりますが、関税は何を基準として決められるのですか。

A.関税は原則として輸入申告時の貨物の価格または数量を基準として、輸入申告時の法令に準じて課せられます。
 貨物を輸入する場合は、関税と5%の消費税(内国消費税4%+地方消費税1%)が課せられます。このとき、税額を確定する
 基礎となるものを「課税標準」と呼びます。
 輸入貨物の価格を課税標準として課せられる関税を「従価税」、数量を課税標準として課せられる関税を「従量税」といい
 ます。このほかに特殊な関税として季節関税、差額関税などがあります。

Q.特恵関税の適用を受けたいのですが、どのような条件や手続きが必要なのでしょうか。

A.特恵関税とは、開発途上国を原産地とする特定の輸入品に、一般の関税率よりも低い税率を適用して、開発途上国の
 輸出の増加と工業化の促進に寄与しようとする制度です。
 特恵関税を受けるには、輸入商品が下記の要件をすべて満たしているケースのときに適用されます。その要件をしっかり
 と理解しましょう。

 @ 特恵受益国または特恵受益地域の原産品であること
 A 特恵対象物品であること
 B 特恵関税の適用が停止されていないこと
 C 適正な原産地証明書の提出があること
 D 本邦向けに直接輸送されたものであること

 特恵関税の適用を受けるには、輸入申告をする際に特恵受益国を原産地とする物品であることを証明した「原産地
 証明書」を提出することになります。この原産地証明書を「一般特恵制度原産地証明書(From - A)」と呼びます。
 原産地の税関や権限のある商工会議所などが発給したものでなくてはなりません。注意しましょう。この原産地証明書
 の有効期限は、発給日から1年です。
 また後発開発途上国(Least Developed Countries:LDC〈国連総会の決議により、後発開発途上国とされる国〉)の産品
 に対しては、特恵関税率を一律に無税にするなどの優遇措置があります。

Q.関税率を調べたいのですが、どのようにしたらいいですか。

A.まず関税率を調べるには実行関税率表を見ることです。ただし輸入者が商品の詳細を確認し、税番号を決定するに
 は、なかなか難しい点もありますので、専門業者である通関業者や通関士に確認することが大切です。また、税関相談
 官へ問い合わせをすることにより、正確な関税率を知ることができます。

Q.事後調査があると聞きましたが、どのようなことですか。

A.輸入申告手続が正しく行われているかを調査するために、税関職員が輸入者の事務所を訪れ調査するものです。
 輸入者は輸入関連書類のほかに、売買契約書、信用状のコピー、送金明細書などを保管しておくことが大切です。
 事後調査は大手輸入者を対象に毎年、中小の輸入者の場合は3年間をめどに行われています。したがって輸入者は
 事前に準備をしておくことが必要となります。

Q.関税の免除、関税の減額、関税の払い戻しを受けることができるケースを教えてください。

A.輸入貨物が一定の条件に適合する場合には、輸入者の関税納付義務の一部、または全部を免除される場合があり
 ます。納税義務の一部を免除することを「減税」といいます。全部を免除することを「免税」といいます。
 さらに、すでに関税が納付され、輸入許可が出された貨物が一定の要件を満たしたときには、納付した関税の一部
 または全部を払い戻すことができます。これを「戻し税」といいます。

 ■ 代表的な例
 @ 変質・損傷等物品の減税・戻し税(関税定率法10条)
 輸入許可前に変質または損傷した貨物については、正常な状態の貨物と同額の関税を課することは適当でないので、
 価格の低下に相当する額に対する関税を軽減または払い戻しができます。
 A 加工または修繕のために輸出された貨物の減税(関税定率法11条)
 わが国で加工・修繕することが困難な貨物であり、加工・修繕のために輸出され、1年以内に輸入される場合の関税を
 減税するものです。
 B 無条件免税(関税定率法14条)
 国際慣例その他の見地から、関税を課することが適当でない輸入貨物について、無条件に関税を免除するものです。
 C 再輸入免税(関税定率法14条の2)
 わが国から輸出されたあとに、性質・形状に変更がなく再輸入される貨物のうち、保税作業により積み戻された貨物
 および輸出を条件として、関税の免除・払い戻しなどを受けて輸出された貨物について、その再輸入の関税額が関税の
 減免などを受けた額を超える場合に、関税を軽減するものです。
 D 再輸出免税(関税定率法17条)
 わが国の加工貿易の振興・文化学術水準向上等の見地から、国内産業に影響を与えないものや国内で消費されない
 ものについて、輸入許可の日から原則1年以内に再輸出することを条件として、関税を免除するものです。

 ■ 還付について
 関税を払い戻す制度として、戻し税のほかに還付制度があります。戻し税と還付の基本的な相違点は、払い戻しを受け
 る人が、戻し税の場合は関税を納付した人であり、還付の場合はその人に限定されないということです。

Q.別送品の手続きがあると聞きましたが、どのようなものですか。

A.「別送品」とは、海外駐在者の引越し荷物や、旅行のときに不要になった身の回り品やお土産品を入国者が携帯して
 持ち帰らずに、別便で送るものです。これらの物品については携帯輸入したものと一括して、免税の範囲枠で扱われ
 ます。
 別送品として通関できるものは、入国の際に別送品申告を行ったもので、原則として本人の帰国後6ヶ月以内に通関
 できるものに限られます。
 さらに注意する点は、外国から送る場合には貨物の外装、税関告知書、送り状に「別送品」と明記し、入国者本人を
 受取人としなければならない点です。

Q.輸入商品が日本の港に到着してから店頭に並ぶまでには、通関手続きを含めてどのような会社が関係し、
 どのような手続きが行われ、どのくらいの時間がかかるのですか。

A.もちろん輸入する商品や数量にもよりますが、ごく一般的な輸入手続きとその所要日数を確認してみましょう。まず
 登場する会社は、輸入者はもちろんのこと「通関業者・税関・船会社・海貨業者・倉庫会社・運送会社」などです。

 @ 日本に到着した輸入貨物は、船会社の手により本船から荷卸しされます。貨物は保税地域に搬入され、貨物の状態
  がチェックされます。
 A 通関業者は、税関に対して輸入申告手続きを行います。税関では審査・検査が行われ輸入許可書が交付されます。
 B 輸入商品によっては、必要に応じて取扱説明書の挿入やパッケージの改装などが行われます。
 C 流通加工の作業が施されたあと、輸入商品は物流センターや販売店に国内配送され、店頭に並びます。

Q.通関業者が輸入申告書を税関に提出すると、税関ではどのような点に注意して審査を行うのですか。

A.輸入申告書が提出されると、税関では申告内容の審査が行われます。具体的な審査内容は次のような点です。

 @ 輸入申告書ならびに仕入書が提出されており、その記載内容が正しいか。
 A 輸入申告書に記載された課税標準、実行関税率表の税番号、適用税率、関税額、消費税額の記載は正確で
  適正か。
 B 他法令(関税関係法令以外の法律)の規定により、輸入の許可、承認等が必要な貨物に関して、必要な許可、承認
  などが得られていることを証明する書類が添付されているか。

 なお、現在はNACCSを利用した申告手続きが多く利用されています。

Q.違約品の積み戻しを行いたいのですが、その方法を教えてください。

A.違約品としての積み戻しは原則として輸入通関後6ヶ月以内とされています。原則として、貨物は輸入したままの
 状態、つまり加工や修理などが行われていないことが求められます。
 違約品を積み戻す場合は、事前に税関に相談し、必要な書類を準備することが大切です。
 必要書類としては、違約品であることを証明する契約書や仕様書、輸出者へのクレームレター、輸入通関時の通関
 書類、納税領収書などです。違約品の積み戻しを行う人は、これらの書類を準備することになります。このような手続き
 を行うことにより、違約品が船積みされると、納付した輸入関税と消費税の還付を受けることができます。

Q.委託生産と委託加工貿易について教えてください。

A.「委託生産」とは企業が海外のメーカーに対して、自社のブランド製品の製造を委託して、その完成品を現地の市場
 において販売する方法です。また、企業は現地で生産した委託生産品を自分の国に輸入することもできます。このような
 「委託生産」の方法を利用することにより、企業は製品を生産する工場の建設費用などを節約できるメリットがあります。
 一方、「委託加工貿易」とは生産に必要な原材料の全部またはほとんどの部分を委託者から提供を受け、これをもとに
 加工して委託者に輸出し、その加工賃を受け取る貿易の形態をいいます。「順委託加工貿易」と「逆委託加工貿易」が
 あります。

 【順委託加工貿易】
 わが国の業者が原材料を海外の委託者から提供を受けて加工を行い、委託者に対して加工品を輸出し、加工賃を受け
 取る方法です。
 【逆委託加工貿易】
 わが国から海外の委託者に対して原材料を提供し、外国で加工を行います。加工作業が終了すると、わが国にその生産
 品を輸入し、加工賃を相手側に支払う方法です。

Q.輸入に興味があります。具体的な商品別の輸入動向を知りたいのですが、どうしたらいいですか。

A.「輸入品」に興味を持たれる方が大変増えてきました。しかし、ひとつ注意する点があります。それは貿易に関する
 商品の分類はHSという関税の分類にもとづいています。一般に使う商品の名称とは異なりますので、その点を事前に
 理解しておきましょう。
 まず興味を持たれた商品の「HS番号」が必要となります。これは「実行関税率表」を見ると分かります。また税関の相談
 室に確認すると教えてくれます。ホームページを利用することにより、このHS番号をもとにして調査・研究することも
 できます。

 @ 財務省のホームページにアクセスしてください。HS番号9桁で興味のある商品の品別国別データの検索ができます。
   財務省:http://www.mof.go.jp/
 A 日本貿易会のホームページからは、昨年度の実績と今年度の見通しを品目別にコメント付きで見ることができます。
   日本貿易会:http://www.jftc.or.jp/

 このようにして、貿易関係機関のホームページを利用することにより、欲しい情報や資料を手軽に入手することができ
 ます。ぜひ活用してみてください。

Q.輸入品に付けなければならない表示があると聞きましたが、どのようなものがあるのでしょうか。

A.表示とはその製品についての情報を消費者に正しく伝えるものです。輸入品を国内に販売する場合は、法律に
 もとづいて必要な表示を行います。表示を行う代表的な製品と、その基本となる法律を表に示します。

Q.貿易取引ではクレームがよく発生すると聞きました。その解決方法に仲裁と調停があるそうですが、
 どのように違うのですか。

A.貿易ビジネスを進めるなかでクレームが発生することがあります。当事者はできるだけ速やかに、なおかつスムーズ
 にクレームに対処することが大切です。
 解決方法にはいくつかの方法がありますが、一番好ましい方法としては和解(Compromise)があります。これは当事者
 間で十分に話し合い、両者合意のもとに円満解決をはかる方法です。
 次にお問い合わせの「仲裁」と「調停」について説明していきましょう。
 「調停」(Mediation)は中立的な第三者(調停人)により、紛争当事者の自立的な解決を促す手続きです。
 調停人により紛争の解決案、つまり調停案が示されます。
 しかし、調停案には拘束力がないことから、紛争当事者のどちらかが不満を持った場合など、不成功に終わることも
 多いようです。
 「仲裁」(Arbitration)は、当事者の合意にもとづき紛争の解決を中立的な第三者、つまり仲裁人に委ね、その判断
 (仲裁案)に従う解決方法です。仲裁案には強制力および拘束力があるので拒否ができません。仲裁には上訴の制度
 がないので、迅速な解決をはかることができます。また当事者が仲裁人を選定することができます。

  問合わせ先:社団法人 日本商事仲裁協会

Q.輸送中の貨物の所在を知りたいときは、どのようにしたらいいのですか。

A.輸出者または輸入者としては、商品が今どこにあるのかを知りたいと思うことがよくあります。また国内の取引先から
 の問い合わせに答えなくてはならない場合もあります。このようなとき、輸出者または輸入者は、船会社や輸送業者に
 対して、貨物の追跡調査を依頼します。
 輸送業者は、貨物の行方をコンピュータで追跡調査するシステムを開発し、顧客へのサービスに応えています。
 「カーゴ・トレース・システム」と呼ばれ、輸送各社はコンピュータを駆使し、瞬時の情報収集が可能となりました。
 輸出者または輸入者はB/L No.またはAIR WAYBILL No.を輸送業者に告げることにより、貨物の位置を確認することが
 できます。また、国際郵便のEMSや国際宅配便でも、このようなコンピュータ追跡システムによるサービスを行って
 います。

Q.国際宅配便にはどのようなメリットがあるのですか。

A.ここ数年、国際宅配便の利用が急増しています。国際宅配便は消費者のニーズに応え、書類や小型貨物を航空
 輸送の利用により、Door to Doorのサービスを行っています。料金も運賃に内陸輸送料金、通関料金などを追加した
 一括の料金体系になっています。

 【国際宅配便の利用に適している商品】
 @緊急性のある書類
  契約書、商品の説明書、インボイス
 A緊急性のある小物
  商品サンプル、在庫不足の補充品、代替品
 【国際宅配便では取り扱わない商品】
 貴金属、アルコール飲料、毛皮、生きた動物、現金、小切手、危険物など

Q.通関手続きを通関業者に依頼しますが、特に輸入通関手続きをお願いした場合の費用と必要な日数を
 知りたいのですが…教えてください。

A.輸出入に関する通関手続きを、輸出者または輸入者自らが行うこともできます。しかし時間や手続きの煩雑さを考え
 て、通常は専門業者である「通関業者」に依頼します。その場合、特に輸入通関手続きに関して、費用と必要な日数を
 輸入担当者は事前に把握しておくことが大切です。
 輸入通関手続きの費用に関しては、通関にともなう業務の内容によりタリフ(標準価格)が定められています。通常の
 輸入申告料金は上限が1件11,800円です。これは輸入貨物、輸入商品の物量に関係なく申告件数1件当たりの価格
 です。
 もちろん申告料金以外にも、輸入手続きを行うにあたって通関業者に当然支払うことになる費用が発生します。必要な
 書類の作成料手続きの費用として、取扱手数料などの名目で1件10,000円から20,000円かかるようです。そのほかに
 保管料や検査料金なども必要に応じて発生します。
 輸入通関にあまり時間をかけるのは、輸入ビジネスにおいて得策ではありません。輸入者としては事前に通関業者と
 相談のうえ、必要な書類を準備しておきましょう。特別に問題がないものであれば、1〜2日で輸入許可を得ることが
 できます。

Q.信用状を受取ったときの確認事項を教えて下さい。

A.受益者である輸出者には通知銀行から信用状が送られてきます。当然、信用状を読むことになります。信用状の
 内容を確認するときは、必ず下記の点についてチェックしましょう。信用状の内容を完璧に確認できることが輸出者の
 第一歩です。

 @ 取消不能信用状であるかを確認しましょう
  信用状は取消不能信用状(Irrevocable Letter of Credit)であることが大切です。入手した信用状の書面に
  「Irrevocable」の文字があるかを必ずチェックしましょう。
 A 信用状に記載されている内容や条件を確認しましょう
  信用状に記載されている内容は、輸入者(Applicant)と結んだ契約内容と一致していなければなりません。
  輸入者により勝手に条件などが変更されていないかをチェックしましょう。
 B 信用状統一規則適用文言があるかを確認しましょう
  通常、信用状の最後に次のような文言が表示されています。
  This Letter od Credit is Subject to "The Uniform Customs and Practice for Documentary
  Credits 2007 Revision I. C. C. Publication No. 600."
 C 買取銀行指定の信用状であるかを確認しましょう
  信用状の中には、買取銀行が指定されている買取銀行指定信用状(Restricted Letter of Credit)が
  あります。この信用状を利用する場合には買取銀行が指定されますので注意しましょう。

Q.ブッキングをするときの注意点を教えて下さい。

A.輸出者は信用状を入手すると、輸出貨物を積載する本船を決めて、船会社に船腹予約(Booking of Ship's Space)
 をします。ブッキングと呼ばれます。最近では海貨業者が輸出者に代わってブッキングを行うことが多いようです。

 @ 本船を決める
  信用状に船会社などの輸送業者が指定されている場合があります。中南米や中近東向けの輸出においては、
  特にその国のナショナル・ラインを指定してくる場合があります。そのときは、必ず指定された船会社または輸送
  業者の本船を選択します。
  信用状には船積期限が設定されていますので、その期限内で確実に船積みができる本船を決めます。日程的
  にある程度余裕のある本船を選びましょう。
 A 船積内容を確認
  船積予定の本船、航海番号、商品明細、仕向地などを確認し、船会社に電話や船会社のホームページを
  利用してブッキングを行います。
 B 特別条件
  船積みに関して特別な条件をつける場合は、ブッキング時に船会社に依頼することが大切です。最近は船荷証券
  の発行ではなく、「Waybillの発行」や「船荷証券の元地回収(サレンダーB/Lの発行)」などをリクエストする企業が
  増えています。

Q.船荷証券を手に入れるときのチェックポイントを教えて下さい。

A.輸出者は船会社またはNVOCCから船荷証券を入手します。CIF条件の場合は事前に船会社などにフレイト確認
 を行い、海上運賃を船会社等に支払い、船荷証券を手に入れます。船荷証券の記載内容はとても大切です。信用状
 取引の場合は、信用状に記載されている条件と一致しなくてはなりません。

 @ 船荷証券の日付、つまりB/L Dateを必ず確認しましょう。船荷証券の日付は大きな意味を持ちます。特に月末や
  年末の場合は、自分が希望するB/L Dateが記載されているかをチェックしましょう。通常、B/L Dateは本船の入港日
  または出港日のどちらか希望する日を取ることができます。しかし、信用状に記載されているLatest Shipment以前の
  日付でなくてはなりません。
 A 信用状の商品明細の内容と船荷証券に記載されている文言が一致していることが大切です。万一、ディスクレを
  発見したときは、すみやかに船会社と連絡をとり、船荷証券の訂正を行います。
 B 船荷証券の正本の発行枚数は3通あるか確認しましょう。信用状でFull Setを表示されている場合、船荷証券は
  3通必要です。
 C 船会社のサインがあるか、収入印紙が貼ってあるか、船荷証券番号が記載されているかも、あわせて確認しましょう。

Q.船荷証券を訂正するときの手続きを教えて下さい。

A.輸出者は船積みが終了すると、船荷証券を船会社から入手します。輸出者は船荷証券の内容を確認しなければ
 なりません。契約内容との差異や、信用状に要求されている文言の不足やスペルミスなどの不備を発見した場合は、
 船荷証券の訂正を行います。

 @ 輸出者は船会社より船荷証券を入手し、記載内容を十分に確認します。特に信用状条件の場合は、信用状
  に要求されている文言と一致しなくてはなりません。
 A 船荷証券に記載されている内容に訂正しなければならない箇所を発見した場合は、輸出者は船荷証券の訂正
  準備にとりかかります。輸出者は船会社に対して、保証状(Letter of Guarantee)を作成します。
 B 輸出者は船荷証券にこの保証状を添えて船会社に出向き、船荷証券の訂正を行います。船会社により船荷証券
  が訂正されます。輸出者は訂正された船荷証券と信用状の内容を再度確認することになります。

 信用状の有効期限が迫っているときなどは、このような手続きに時間を費やしてしまうと、買取手続きそのものに支障を
 きたすことがありますので注意しましょう。まずは、正確な船荷証券を入手することが第一です。

Q.一般的な船荷証券ができあがるまでの流れを教えて下さい。

A.
 @ 輸出者は、まず船積・通関手続きを専門業者に依頼するための必要書類を作成します。信用状取引のときは
  L/Cをもとに、Invoce、Packing Listを作成します。さらに輸出者が要求するB/Lの内容や条件を正確に記入した
  船積依頼書(Shipping Instructions)を作成します。
 A 海貨業者は実際の船積手続きを行います。船積手続きに必要な書類を作成します。輸出者から入手したS/Iを
  もとに、コンテナ船の船積みにおいてはDock Receipt(貨物受取証)、Container Load Plan(コンテナ明細書)
  を作成し、CYまたはCFSに提出します。CY、CFSでは海貨業者から提出された書類をチェックします。
  Dock Receiptが船荷証券の原本になります。
 B CYやCFSに提出された書類をそれぞれの担当者がチェックし、船積みが確認されると、Dock Receiptの中にある
  B/Lマスターを船会社に送付します。
 C 船会社では船荷証券に海上運賃を明記し、サインを行い収入印紙を貼付して輸出者に発行します。
 D 輸出者はCIF契約やCFR契約の場合、海上運賃を支払い、B/Lを入手します。なお、在来船の船積みの場合は
  海貨業者は、Shipping OrderまたはShipping Applicationを作成し、船会社に提出します。

 以上が船荷証券作成までの書類の流れです。最近では、IT化が進み、NACCSなどのコンピュータ送信
 により、B/Lの作成が行われています。

Q.船荷証券未着時の処理方法を教えて下さい。

A.船の高速化や近隣の韓国・中国からの輸入品の急増により、すでに輸入貨物が日本の港に到着しているにもかかわ
 らず、輸入者の手元に船荷証券が届いていないケースがよく発生します。このような場合、輸入者はすみやかに行動し、
 輸入貨物(輸入商品)を遅延なく手に入れることができるように必要な手続きを行います。

 @ 輸入者は船荷証券が手元にない場合、輸入貨物引取保証状(Letter of Guarantee)を作成し、取引銀行に連帯保証
  を依頼します。
 A 銀行は提出されたL/Gを確認し、銀行内の署名権限者が署名を行い、輸入者に返却します。
 B 輸入者は輸入貨物を引取るために、銀行により連帯保証されたL/Gを船荷証券の代わりに船会社に提出します。
 C 船会社はL/Gの内容を確認し、貨物の引渡しを指示する荷渡し指図書(Delivery Order)を輸入者に発行します。
 D 輸入者は、このD/Oを貨物が蔵置してあるCYやCFSに持参することにより、貨物を受取ることができます。
 E 輸入者は、後日船荷証券を手に入れると、B/Lを船会社に提出します。
 F 船会社は船荷証券が提出されたことにより、輸入者から差入れられていたL/Gを返却します。
 G 輸入者はL/Gを銀行に返却することで、この一連の手続きを終了します。

Q.輸入商品の見つけ方と見本市や輸入品フェアの利用方法を教えて下さい。

A.輸入者が輸入商品を発見または発掘する手段として、見本市や輸入品フェア・展示会の利用が挙げられます。
 調べてみると日本国内で開催される輸入品の見本市だけでも、その数は数百にも及びます。輸入商品のカテゴリを
 絞って、見本市や輸入品フェアに足を運びましょう。
 開催都市や開催日時を十分検討し、できるだけ多くの見本市や輸入品フェアを見学しましょう。事前に調べるには
 インターネットが大いに役立ちます。
 見本市に出向いたら、できるだけ多くの商品を自分の目で確かめましょう。実際に自分の手で触れてみた感触を
 大切にしましょう。直接担当者と話ができるのも見本市のメリットです。この機会を利用して、十分に商品の説明を
 受け、商品知識を身につけましょう。
 また、カタログやパンフレットは必ず持ち帰りましょう。気に入った商品をカメラやビデオに撮影し、再度検討すること
 により、会場では気がつかなかった点にも注目できます。
 一方、海外で開催される有名な見本市に出かけるのもひとつの方法です。時間と経費がかかりますが、商品を
 実際に体験できるなど、海外の見本市を利用するメリットは大変大きいものです。

Q.ビールの輸入規制と輸入手続きを教えて下さい。

A.ビールを輸入するには「食品衛生法」と「酒税法」の規制を受けます。まず「食品等輸入届書」を作成のうえ、必要
  書類を添付し、通関を予定する空港または海港を管轄する検疫所の輸入食品監視業務窓口に提出します。
  「食品等輸入届書」の審査の結果、衛生検査が必要とされたものについては、保税地域で検査が行われ、輸入の
  可否が判断されます。食品衛生法に合格すると、届出済書を税関に提出し、輸入通関手続きを行います。
  また、ビールを販売する場合は、酒税法の適用により「酒類販売業」(卸売業免許または小売業免許)の免許が
  必要になります。ただし、この免許取得義務は、酒類を販売する場合に必要なものであり、酒類の輸入そのものを
  拘束するものではないの注意しましょう。
 
   参考
    食品衛生法/厚生労働省医薬食品局食品安全部
    酒税法/財務省関税局業務課

Q.ミネラルウォーターの輸入規制と輸入手続きを教えて下さい。

A.最近人気のミネラルウォーターを輸入するには、「食品衛生法」の規制を受けます。
 ミネラルウォーターを輸入する場合は、「食品等輸入届出書」を作成のうえ、必要書類を添付し、通関を予定する空港、
 海港を管轄する検疫所の輸入食品監視業務窓口に提出します。「輸入届書」の審査の結果、衛生検査が必要とされた
 ものは、保税地域で検査が行われ、輸入の可否が判定されます。不合格の場合、積戻し、廃棄、あるいは食用以外
 の用途を命ぜられますので注意が必要です。

  参考
   厚生労働省医薬食品局食品安全部

Q.生鮮野菜の輸入規制と輸入手続きを教えて下さい。

A.生鮮野菜が食卓を飾ることが多くなりました。しかし、生鮮野菜を輸入するには、さまざまな規制があります。生鮮野菜
 を輸入するには「食品衛生法」と「植物防疫法」の規制を受けることになります。
 「植物防疫法」により、生鮮野菜を輸入する場合、植物の病害虫の侵入を防ぐために、本船の入港後ただちに輸出国
 政府機関の検査証明書を添えて「植物輸入検査申請書」を植物防疫所に提出します。検査の結果、有害虫が検出
 された場合は、消毒・廃棄・積戻しなどの命令が出るので、その指示に従います。マツタケや根菜類など、土の付着した
 野菜は輸入が禁止されていますので注意が必要です。
 「植物防疫法」に合格したあと、今度は「食品衛生法」の検査を受けます。「食品等輸入届出書」を作成し、必要書類
 を添えて、通関予定の空港・海港を管轄する検疫所の輸入食品監視業務窓口に提出します。
 「輸入届出書」の審査の結果、衛生検査が必要とされるものは、保税地域で検査が行われ、輸入の可否が判定され
 ます。野菜の衛生検査については、生鮮野菜の場合、残留農薬、添加物、残留放射能などについて調べられます。

  参考
   厚生労働省医薬食品局食品安全部

Q.ナイフを輸入するときの規制を教えて下さい。

A.刃物を輸入する場合は「食品衛生法」「銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)」「ワシントン条約」の規制を受ける
 ものがあります。刃物類はその酒類により、受ける規制が異なりますので注意が必要です。
 例えば、包丁や食卓用の刃物などを輸入する場合は、食品衛生法の規制を受けます。
 刀剣類にあたらない刃物であっても、刃体の長さが6cmを超える刃物に関しては「銃刀法」の規制を受けます。
 また、象牙などを使用している刃物類は「ワシントン条約」の定める禁止品を使用しているため、輸入ができません。

Q.化粧品を輸入するときの規制を教えて下さい

A.海外で気に入った化粧品に出会い、その商品をぜひ輸入したい。他の人にも、その良さを知ってもらいたいとの気持ち
 から、化粧品の輸入を考える方が多くいます。しかし、化粧品の輸入には規制が多くあり、一つ一つクリアしていかなくて
 はなりません。
 化粧品は「薬事法」の規制を受けます。もちろん医薬品、医薬部外品も薬事法の規制を受けます。まず輸入する商品
 が薬事法の規制対象となるかどうかを確認しましょう。輸入する商品の成分、形状、使用目的や用法、容量などをまとめ
 専門機関に相談しましょう。さらに薬事法の対象となる商品を輸入したい場合は、「輸入販売業の許可」を取る必要が
 あり、品目ごとの輸入の承認または許可を受ける必要があります。

Q.木材を輸入するときの規制を教えて下さい。

A.木材(丸太や辺材のあるもの)を輸入する場合は、「輸入検査」が必要です。ただし、製材や合板に加工された場合
 は、輸入検査の対象になりませんので注意しましょう。
 輸入時にどちらか判断が難しいものは、書類や現物を持参すると、関係省庁で検査対象貨物かどうか確認してもらえ
 ます。輸入検査の結果、病害虫の寄生がなければ、そのまま輸入することができます。しかし、病害虫が検出されると、
 当然、消毒が必要になります。

  参考
   農林水産省消費安全局植物防疫課

Q.万年筆の輸入手続きを教えて下さい。

A.万年筆を輸入する場合、珊瑚や象牙などを装飾として使用しているものについては、その種類により「ワシントン条約」
 に該当するものがあります。該当するものは輸入貿易管理令にもとづき輸入できないものがありますので注意が必要
 です。ワシントン条約の附属書T・U・Vに該当する動植物を装飾として使用した万年筆は、次のような規制があります。必要
 な手続きを理解しておきましょう。
 附属書Tに掲げられた動植物は輸入が原則禁止されています。
 附属書Uに掲げられた動植物に関しては、輸出国の管理当局が発行する輸出許可書がないと輸入することができま
 せん。輸出許可書を取得している場合は、輸入通関のときに税関に提出し、確認を受けることになります。
 附属書Vに掲げられた動植物に関しては、輸出国の発行する原産地証明書がなければ輸入することができません。
 原産地証明書を取得している場合は、輸入通関のときに税関に提出し、確認を受けなければなりません。

  参考
   経済産業省

貿易のお仕事に就くためのQ&A

Q.貿易のお仕事に就くためにはどうしたらいいですか。

A.本当によくこのようなご質問を受けます。

 「国際的な仕事がしたい」「海外ビジネスに携わる貿易の仕事に就きたい」「英語が好きなので、語学力を活かして
 思いっきり仕事がしたい」、このような希望をよく耳にします。
 貿易に関連するお仕事に就きたいと考えている方々は本当に多くいるんだなぁと驚かされてしまいます。特に学生や
 若い女性には人気のある職種なようです。

ポイント1 : 働き方と働き先を考える


  どのような働き方をするのかをまず考えましょう。「正社員」として企業に就職するのか、スキルを活かして「派遣
 スタッフ」として就労するのか、または短期的に「アルバイト」や「契約社員」として働くのかをはっきりさせましょう。
  また、特に貿易のお仕事といっても、働く先の企業〔就労先企業〕はさまざまです。働き先としては、まず「商社」が浮か
 びます。商社は貿易取引・国際ビジネスの大黒柱です。商社以外にもメーカーの国際部や海外部、銀行、保険会社など
 も貿易のお仕事先として考えられます。
  さらに実際の業務を行う専門企業が登場します。「船会社・航空会社・通関業者・海貨業者・航空貨物代理店・混載
 業者・倉庫会社」などの国際物流に携わる企業です。これらの企業では専門知識を有した人材を求めています。また、
 公的な機関である「税関」や「経済産業省・厚生労働省・検疫所」などでの就労も考えられます。
  このようなことを十分に踏まえると、ひとくちで貿易といっても、さまざまな企業が、それぞれの関係を持ちながら重要な
 役割を担っていることがわかります。このようなことを十分に理解したうえで、皆さんそれぞれの働き方と働き先を考えま
 しょう。

ポイント2 : 専門職である


  貿易のお仕事を考えた場合、大きな特色があります。それは「貿易の仕事は専門職」ということです。貿易実務・貿易
 事務に代表される貿易のお仕事は、海外を相手にするわけですから、語学力はもちろんのこと、決済・船積み・通関・
 保険・法律という専門的な知識が求められます。
  さらに英文の貿易書類に代表される書類作成や海外とのコミュニケーションのスキルが求められます。専門性が問わ
 れるということは、他人に負けない専門的知識や武器と呼べるスキルが必要になるということです。

  今後の日本の姿を考えた場合、海外との貿易取引・国際ビジネスは、ますます増えていくでしょう。そこではしっかりと
 したスキルを持った情熱的なワーキングパーソンが求められます。

  皆さん頑張りましょう!

スキルアップを図るためのQ&A

Q.貿易実務・貿易事務に関するスキルをつけたいのですが、具体的にどのようなトレーニングをしたら
 いいですか。

A.さまざまなセミナーや研修の場で、上記のようなご質問を受けます。私なりにスキルアップの方法を6つにまとめて
 お話したいと思います。

  
ポイント1 : 流れを理解する


  まずは貿易取引の大きな流れを把握することです。
 「仕事の流れ: Job Flow」
 「書類の流れ: Documents Flow」
 「貨物の流れ: Cargo Flow」 を確認しましょう。

  次にどのような企業・関係機関が貿易取引・貿易実務・貿易事務に関連するのかをしっかり把握しましょう。

  まずは代表的な輸出入の仕事の内容と関係当事者を確認しましょう。
  貿易実務・貿易事務のお仕事では、さまざまな手続きを行います。必要な手続きを問題なくスムーズに処理すること
 が貿易実務者の力の見せ所でもあります。

  
ポイント2 : 貿易用語・略語をマスターする


  仕事に登場する用語をしっかりと覚えましょう。特に専門用語はB/LやFOBなどのように、略字・略語で表現される
 場合が多くあります。オフィスの中では、この略語が盛んに飛び交っています。英語の略語は一見難しそうに思われます
 が、決してそんなことはありません。略語を一度覚えてしまうと、略語のほうが楽なので自然に使うようになります。

  自分なりの用語・略語リストを作成して、わずかな時間を見つけ、こまめに用語を覚えていく訓練をしましょう。はじめの
 うちは「毎日、15ワードの専門用語を覚えること!」などと、自分にノルマをかけることも大切ですね。

  
ポイント3 : 貿易書類に関する能力をつける


  貿易書類に関するスキルは必須です。必要書類を短時間に正確に作成できるスキルが求められます。貿易取引・貿易
 実務に登場してくる書類は何種類もあります。それぞれの記載内容を理解しましょう。書類を正確に作成できる人は、
 どのよう職場でも求められます。
  書類に関する知識をつけるには、できるだけ多くの書類に接し、書類の作成練習を繰り返し行いましょう。書類作成能力
 は繰り返し練習することにより確実にアップしていきます。

  
ポイント4 : 貿易資格試験にトライする


  日々の経験や知識の習得を確実にするために、更なるゴールを目指して、貿易資格試験にトライすることはとても
 有意義なことだと思います。
  ここ数年、貿易関連の資格試験も充実してきました。自分に合った試験を選びましょう。貿易関連の資格試験としては
 国家試験の「通関士試験」、民間試験の「貿易実務検定試験」「貿易ビジネス認定試験」「国際航空貨物輸送士試験」
 などがあります。
  それぞれの試験には特色がありますので、まずは試験内容を十分に調べましょう。そして、目標を定め十分な計画を
 立てトライしましょう。資格試験に合格することにより、その実力を公に認められ自信を持つことができます。

 
通関士試験

  貿易に関する試験では唯一の国家試験です。財務省が実施し、合格者は通関実務の専門家として認められます。
 受験者は毎年1万人前後です。過去8年間の平均合格率は、だいたい8%〜15%です。
  問い合わせ先 : 税関  http://www.customs.go.jp/

 
貿易実務検定試験

  日本貿易実務検定協会が認定している資格試験です。貿易エキスパートとして、貿易実務能力・知識がどの程度
 あるかを図ります。出題レベルは、A級、準A、B級、C級の4つに分かれています。
  問い合わせ先 : 貿易実務検定  http://www.boujitsu.com/

   
貿易スペシャリスト認定試験

  国際貿易マネジメント協会が認定している資格試験です。貿易実務やマーケティングの知識、ビジネス英語などの能力
 を問います。1級、2級、3級の3つのレベルに分かれています。
  問い合わせ先 : 国際貿易マネジメント協会  http://www1.cts.ne.jp/~bbk

  
ポイント5 : ホームページを活用して専門知識を得る


  ホームページは、貿易実務・貿易事務のスキルアップを図るためには大変役立つツールです。このホームページを
 利用すれば貿易取引、貿易実務に必要な情報を容易に手に入れることができます。ホームページを有効に活用して
 貿易に役立つ情報を身につけましょう。
  ホームページを開くことにより、必要な情報がいくらでも入手できるのです。たとえば、ジェトロのホームページを開くと、
 貿易、輸出入に関する情報量を誇るのは、なんといってもジェトロが一番です。
  その理由は世界に張り巡らされたジェトロの巨大なネットワークによる情報収集能力にあります。ジェトロの事務所は
 世界58カ国80箇所、国内39箇所もあり、そこでは日々貿易拡大のため現地企業の情報収集や輸出入商品の発掘の
 ため調査が行われています。
  こうしたネットワークで得られた情報は、日本に集められ、貿易や投資を行う人のために情報提供が行われているの
 です。
  このような膨大な情報量を最大限活用してスキルアップに努めましょう。

ジェトロ       http://www.jetro.go.jp/
経済産業省    http://www.meti.go.jp/
厚生労働省    http://www.mhlw.go.jp/
東京税関      http://www.customs.go.jp/tokyo/
日本商工会議所 http://www.jcci.or.jp/
ミプロ        http://www.mipro.or.jp/

  
ポイント6 : 自分が携わる前の仕事と後の仕事を理解する


  貿易スキルをさらに確実にするためには、今、自分が携わっている貿易関係の仕事をしっかりと確認することです。
 特に自分の仕事の前の仕事と後の仕事をしっかりと把握しましょう。自分の仕事の前後の仕事を理解することで、
 仕事の流れや注意しなければならないポイントが飛躍的に理解できます。
  このようなことをいつも心に留めて業務していくことにより、仕事のスキルは必ず上達します。

  そして、一番大切なことは、楽しみながら続けることです。